Lesson 2.3 — grid.txt

ユーザーガイド中の支配方程式に現れる全てのパラメーターは、grid.txtという名前の付いたコントロールファイルにて設定します。コントロールファイルgrid.txt中の全ての行は、セパレーター(区切り行)を除いてスペースで分割される3つのブロックから構成されています。例えば、grid.txtの最初の3行は以下のようになっています。

1
2
3
---------- Control File for Flowsquare ver 4.0 (Use SI Unit) ----------
------------------------- General Control Data ------------------------
01:cmode        0  // Simulation mode,....

初めの2行はセパレーターです。上記3行目のように、パラメーター指示行は3つのブロックで構成され、最初のブロック (01:cmode) は各パラメーターの名前を表しています(この名前はほとんどの場合、ユーザーガイド中に現れる変数と同じとなっています)。2番目のブロック (“0″) はそれぞれのパラメーターの値です。次の3番目のブロックには各パラメーターに関するコメントが記入されており、これはシミュレーションに何ら影響を及ぼしません。これらの3つのブロックはスペースで区切られています。

コントロールファイルで指定されるいくつかのパラメーターは境界条件 (bc.bmp) または初期条件 (ic.bmp) ファイルと関係しています(前回のレッスン参照)。以下にgrid.txtに現れる全てのパラメーターの説明を載せます。

  1. ———- Control File for Flowsquare ver 4.0 (Use SI Unit) ———-
  2. ————————- General Control Data ————————
  3. 01:cmode
    シミュレーションのモード
    • cmode=0: 非反応非圧縮性流体モード
    • cmode=1: 反応性(予混合)流体モード
    • cmode=2: 反応性(非予混合)流体モード
    • cmode=3: 亜・超音速流体モード
  4. 02:nx
    離散化の為のx 方向(横方向)格子点数
  5. 03:ny
    離散化の為のy 方向(縦方向)格子点数
  6. 04:lx
    シミュレーション領域のx 方向(横方向)長さ (m)
  7. 05:ly
    シミュレーション領域のy 方向(縦方向)長さ (m)
  8. 06:sts
    スタート又は再スタートのタイムステップ。新規のシミュレーションは sts=0 から始まる。また、前回出力したシミュレーション結果のタイムステップから再スタートすることもできる。
  9. 07:latts
    シミュレーション終了のタイムステップ(次回、このタイムステップから再スタートすることもできる)
  10. 08:cflfac
    1タイムステップ辺りの物理時間 (dt) を決める際の係数。Flowsquareでは dt=lx/(nx-1)/u_max/cflfac と計算されており、ここで u_max は以下のように定義される。
    • 1. grid.txtにて設定されている速度の最大値(cmode=0–2)、または
    • 2. 音速(cmode=3)。

    通常、 cflfac=10~20 が最適。

  11. —————- Numerical Scheme, Smoothing & Accuracy —————
  12. 09:iorder
    シミュレーションにおいて用いられる数値計算方法。パラメーターは0から3を指定することが出来、それぞれ以下の数値計算法に該当。
    • iorder=0: 低精度計算法;2次精度中心差分+オイラー法(1次精度)
    • iorder=1: 高精度計算法;4次精度中心差分+3次精度ルンゲクッタ法
    • iorder=2: 2次精度中心差分+Lax-Wendroff (中間点)法
    • iorder=3: 4次精度中心差分+Lax-Wendroff (中間点)法
  13. 10:nfil
    フィルター操作を施すインターバルタイムステップ(例:1と設定すると毎ステップ、5と設定すると5タイムステップに1回)。0に設定するとオフ。
  14. 11:wfil
    フィルター操作に関する緩和係数(ユーザーガイド内Section 4.4参照)。0<=wfil<=1。一般的には計算が発散しない程度の出来るだけ小さい値を使うのが望ましい。
  15. 12:omega
    cmode=0–2に必須。ポアソン方程式を解く際の緩和係数。1.8は通常良く用いられるが、正の小さい値は収束の難しい複雑な問題に用いられる(ユーザーガイド内のSection 4.3参照)。
  16. 13:peps
    cmode=0–2に必須。ポアソン方程式の収束計算終了の許容誤差(ユーザーガイド内のSection 4.3参照)。
  17. 14:loopmax
    cmode=0–2に必須。ポアソン方程式の収束計算の最大収束回数。Loopmax の収束回数に達すると上記の peps を満たしてなくても収束計算は終了する。
  18. 15:wdrho
    cmode=1 & 2に必須。密度変化がある反応性流体の場合、wdrho=1が使われる。しかし、シミュレーション開始直後の過渡状態で収束が難しい場合、 0<=wdrho<=1 の範囲で小さい値を用いることもある(ユーザーガイド内の式6参照)。
  19. —————— General BC and Global IC (White) ——————-
  20. 16:perikey
    周期境界条件とその方向を指定
    • perikey=0: 周期境界無し
    • perikey=1: x 方向のみ周期境界
    • perikey=2: y 方向のみ周期境界
    • perikey=3: x 及び y 方向に周期境界
  21. 17:pres0
     圧力 (Pa). レッスン2.2 — ic.bmpを参照。
  22. 18:uin0
     初期速度 (m/s).
  23. 19:vin0
     初期速度 (m/s).
  24. 20:rho0
     初期密度 (kg/m^3).
  25. 21:temp0
     初期温度 (K).
  26. 22:scalar0
  27. —————— BLUE Local BC and/or IC (optional) —————–
  28. 23:uin1
     境界速度 (m/s). レッスン2.1 — bc.bmpを参照。
  29. 24:vin1
     境界速度 (m/s).
  30. 25:rho1
     境界密度 (kg/m^3).
  31. 26:temp1
     境界温度 (K).
  32. 27:scalar1
  33. —————— RED Local BC and/or IC (optional) ——————
  34. 28:uin2
     境界速度 (m/s). レッスン2.1 — bc.bmpを参照。
  35. 29:vin2
     境界速度 (m/s).
  36. 30:rho2
     境界密度 (kg/m^3).
  37. 31:temp2
     境界温度 (K).
  38. 32:scalar2
  39. ———- PINK Local BC and/or IC (pure air flow, optional) ———-
  40. 33:uin3
     境界速度 (m/s). レッスン2.1 — bc.bmpを参照。
  41. 34:vin3
     境界速度 (m/s).
  42. 35:temp3
     境界温度 (K).
  43. ————— BLACK Wall Boundary Condition (optional) ————–
  44. 36:tempw
     境界温度 (K). レッスン2.1 — bc.bmpを参照。
  45. ————– GREEN Moving Boundary Condition (optional) ————-
  46. 37:imb
     移動境界の動き方。レッスン2.1 — bc.bmpを参照。
  47. 38:umb
     境界移動速度 (m/s).
  48. 39:vmb
     境界移動速度 (m/s).
  49. 40:tempmb
     境界温度 (K).
  50. ————- YELLOW Scalar Boundary Condition (optional) ————-
  51. 41:scalarT
    追加のスカラー値。レッスン2.1 — bc.bmpを参照。
  52. ———- Transport Properties & Thermochemical Conditions ———–
  53. 42:mu
    流体の粘性係数(動粘性係数×密度) (kg/m s)。 1気圧下の水@300K: 8.94E-4, 空気@300K: 18.6E-6。cmode=0–2に必須。
  54. 43:R
    気体定数 (J/kg K)。空気: 286.9。
  55. 44:diff
    拡散係数 (m^2/s)。Schmidt数=1を仮定すると、diff~mu/rho となり、 Air@300K: 20.0E-6。cmode=1, 2及び黄色境界条件が使われる場合にて必須。
  56. 45:Tu
    未燃ガス温度 (K)。 cmode=1に必須。
  57. 46:Tb
    既燃ガス温度 (K)。cmode=1 & 2に必須。
  58. ——————- Chemical Reaction (for cmode=1) ——————-
  59. 47:krate
    1ステップ化学反応に関する係数。ユーザーガイド内の式(13)参照.
  60. 48:Trate
    活性化温度 (K).
  61. 49:nrate
    1ステップ化学反応に関する係数。
  62. 50:cF
    反応領域が位置する場所での反応進行変数 (~0.5、可視化の目的)。
  63. ————— Non-Premixed Reacting Flow (for cmode=2) ————–
  64. 51:Xst
    非予混合反応流体で反応領域が位置する化学量論mixture fraction (~0.5)。
  65. 52:sigma
    密度計算における緩和係数。通常は1を用いるべきだが、収束が難しい場合、0<=sigma<=1 の範囲で値を調整する。ユーザーガイド内の式(28)参照。
  66. ————————– Display & Output —————————
  67. 53:box
    表示される1格子点当たりのピクセル数。
  68. 54:nfig
    シミュレーション画像出力のインターバルタイムステップ。(例:1と設定すると毎ステップ、5と設定すると5タイムステップに1回)。0に設定するとオフ(画像出力をしない)。
  69. 55:nfile
    シミュレーション結果出力のインターバルタイムステップ。(例:1と設定すると毎ステップ、5と設定すると5タイムステップに1回)。0に設定するとオフ(データ出力をしない)。
  70. 56:bcdisp
    • bcdisp=0: シミュレーション画面中で壁境界を描画しない。
    • bcdisp=1: シミュレーション画面中で壁境界を描画する。
  71. 57:idisp
    色で描画される物理量の指定
    • idisp=0: オフ(黒画面)
    • idisp=1: 流体密度
    • idisp=2: x方向速度成分, u
    • idisp=3: y方向速度成分, v
    • idisp=4: 流速 (sqrt(u*u+v*v)).
    • idisp=5: 渦度
    • idisp=6: 温度
    • idisp=7: 反応速度 (cmode=1)、及びマッハ数(cmode=3)
    • idisp=8: 反応進行変数(cmode=1), mixture fraction(cmode=2), 一般的なスカラー(cmode=0, 3)
    • idisp=9: 圧力 (マイナスpres0)
    • idisp=10: 純粋空気と反応進行変数のMixture fraction (cmode=1), 及び E/rho (J/kg) (cmode=3).
  72. 58:cmax
    idisp で指定した物理量の、カラーバーの最大値(0に指定すると自動スケール)。
  73. 59:cmin
    idisp で指定した物理量の、カラーバーの最小値(0に指定すると自動スケール)。
  74. 60:icolor
    表示に使うカラーマップの指定
    • icolor=0: ジェット
      Jet
    • icolor=1: レインボー
      Rainbow
    • icolor=2: 錦(にしき)
      Nishiki
    • icolor=3: グレー
      Grey
    • icolor=4: グレー(反転)
      Grey_inv
    • icolor=5: ホット
      Hot
    • icolor=6: 海
      Sea
    • icolor=7: 葉
      Leaf
  75. 61:icont
    反応領域全面を示す等値線の表示・非表示と色 (cmode=1 と 2).
    • icont=0: オフ
    • icont=1: 黒
    • icont=2: 赤
    • icont=3: 緑
    • icont=4: 青
    • icont=5: 白
  76. 62:linewidth
    等値線の太さ
    • linewidth=1: 1 ピクセル
    • linewidth=3: 3 ピクセル
    • linewidth=5: 5 ピクセル
    • linewidth=7: 7 ピクセル
  77. 63:ivec
    速度ベクトルの表示・非表示とその色
    • ivec=0: オフ
    • ivec=1: 黒
    • ivec=2: 赤
    • ivec=3: 緑
    • ivec=4: 青
    • ivec=5: 白
  78. 64:ndiv
    表示する速度ベクトルの格子点間隔(0に指定すると自動)
  79. 65:vecsize
    速度ベクトル矢印のピクセルサイズ(0に指定すると自動)
  80. —————— Lagrangian Trajectory (optional) ——————-
  81. 66:lagkey
    ラグランジュ・粒子トラッキング
    • lagkey=0: オフ
    • lagkey=1: ラグランジュ粒子は左の境界から流入
    • lagkey=2: ラグランジュ粒子は下の境界から流入
    • lagkey=3: ラグランジュ粒子は左右の境界から流入
    • lagkey=4: ラグランジュ粒子は上下の境界から流入
  82. 67:lagcolor
    ラグランジュ粒子の色。 0: 黒、 1: 白
  83. 68:lagsize
    ラグランジュ粒子のピクセルサイズ
  84. 69:nlagra
    ラグランジュ粒子トラッキングで、粒子位置をリセットするインターバルタイムステップ (>=100)
  85. 70:npart
    ラグランジュ粒子の数 (>=1000)
  86. ———————— Body Force (optional) ————————
  87. 71:gfx
    密度差によって発生する外力の体積力のx方向成分 (m/s^2)
  88. 72:gfy
    密度差によって発生する外力の体積力のy方向成分 (m/s^2)
  89. 73:dref
    体積力計算に使う参照密度
    • dref=1: grid.txtから計算される最大の密度
    • dref=2: grid.txtから計算される中間の密度
    • dref=3: grid.txtから計算される最小の密度
  90. ——————- Initial Perturbation (optional) ——————-
  91. 74:pmode
    初期速度変動。ユーザーガイドのSection 4.6参照。
    • pmode=0: オフ
    • pmode=1: シングルモード
    • pmode=2: マルチモード
    • pmode=3: マルチモード (各波数での大きさはランダム)
  92. 75:umag
    速度変動の大きさ (m/s).
  93. 76:nwave
    x方向の波の数
  94. ——————————– Others ——————————-
  95. 77:nwait
    計算中ループの待ち時間 (通常、0にセットすると最速で計算できる。コンピューターが非力で不安定になる場合1以上に設定)
  96. ———————————————————————–
  97. #End of file